グラフィックの最適化および改善
2022.09.17 お知らせ
『Enlisted』の大型アップデート「太平洋」の実施に伴い、草木や煙の効果、さらにはあらゆる水面に関するいくつかの技術的改善を行いました。
グラフィック面の改善をご説明する前に、すべてのプラットフォームでCPUリソースの使用率を向上させるために行った最適化の数々についてご紹介します。これにより、『Enlisted』はさらに美しくなるだけではなく、より効率的になります!
目標フレームレート:120 FPS(新世代)/60 FPS(前世代)
『Enlisted』では、各プレイヤーの皆さまが分隊を操作することにより、常に数百人の兵士がそれに従ったアクションをしています。大規模なバトルともなると、画面上で数百人のキャラクターが常時撃ったり、飛んだり、走り回ったりしています。
ダイナミックなシューティングゲームで高いパフォーマンスと操作性が必要になることは、オープンテストが始まる前から承知しておりました。印象的なバトルのスケール感を損なうことなく、良質でダイナミックなゲームプレイを提供することを第一の目標としていたため、初期の『Enlisted』は、当時かなり安定した60FPSを提供できていたプラットフォームであるPCと次世代コンソールでのみリリースしました。
その際の成功を機に、私たちはユーザー層の拡大を狙い、前世代ゲーム機への参入を決断しました。しかし、それは決して簡単な道ではなく、30FPSに到達するだけでも最適化作業のみに数ヶ月を費やさなければなりませんでした。その結果、2021年の秋にこれらのプラットフォームに参入できましたが、フレームレートの安定を維持することは難しく、30FPSを下回りパフォーマンスを提供できなかったロケーションを数カ所制限したこともありました。もちろん、まだ改善する余地があるため引き続き取り組んでいます。
1年間の着実な最適化作業の結果『Enlisted』では、「ハイパフォーマンス」モードにて、前世代のコンソールで60FPS、及びすべての最新コンソールにおいては120FPSという待望の安定した値を実現しようとしています。(「ハイクオリティ」モードにおける当初の目標は、現世代機で安定した60FPS、前世代機で30FPSだったため、ここだけの話ですが、それは達成済みです!)
もちろん、PC版プレイヤーの皆さまも私たちが取り組んできた改善を実感していただけますし、PCプレイの最適化でこのゲームのユーザー層を拡大したことにより、更なる恩恵を感じるでしょう。比較的スペックが弱いノートパソコンや他の同様の機種に対してもFPSが安定した快適なゲームを提供しています。
平均FPSを改善するという最適化に加えて、「フリーズ」(遅いフレーム)の除去も配慮しました。その結果、FPSが向上しただけでなく、より安定するようになりました。これはゲームプレイを楽しむうえで、平均フレームレートと同様に重要な最適化と言えます。
マルチスレッドのCPUリソースの使用方法の改善、メモリキャッシュの効率的な使用、GPUアーキテクチャの最適化、さらにホットコードを他のアルゴリズムやアセンブリ言語に書き換えることで、画質や解像度を落とすことなくゲームパフォーマンスを向上させることに成功しました。すべてのコアを最大90%まで活用しましたが、入力遅延やゲームプレイの質および画質に関しては決して妥協しませんでした。高品質のFPSとは、より良い操作反応などであり、画像の多様性を低下することではありません。
これらの過程でより新しく、より優れたプロファイリングツールを作成し、自動テストを設定するなどチーム全体のパフォーマンスに対する姿勢が劇的に変化しました。今では開発部の習慣となり、それは私たち開発者が本当に誇りに思っている部分でもあります。
ゲームシステムに多面的に重大な再設計を行いました:
将来的に、ターゲット・プラットフォームのリソースをもっと有効に活用し、パフォーマンスを向上させるために、更なるコード改善を計画しています。今年中にはPlayStation5において安定した120FPSが実現できると確信しています。
可変リフレッシュレート
残念なことに初期型のテレビやコンソールでは、ティアリングが発生するのを防ぐため、リフレッシュレートの倍数のフレームレートにしか対応していませんでした。最近のテレビは、いわゆる可変リフレッシュレート(VRR)に対応しており、新世代のコンソールも両方対応しています。
前回のアップデートで、このゲームがVRR対応可能となりした。お使いのテレビやモニターがこの技術に対応していれば、PCやPS5にてアーティファクトのような表示不全が発生することなく、いつでも最高のフレームレートでプレイできます。
PS5の「ハイパフォーマンス」モードでプレイする場合、その最低フレームレートが90FPS以上(フレームレート中央値は110以上)となるため、VRRを利用することでより一層ゲームを楽しむことができます。
ある一定期間にゲームが120FPSに達しない場合、垂直同期(V-sync)によりフレームレートが60FPSに制限される代わりに、可能な限り高いフレームレートが適用されるようになりました。しかし、コンソールの場合は、VRRを有効に設定する必要があり、PCの場合ではVRRに対応したハードウェアが必要となります。
草木の改善
マップ上の森の一部である遠方に見える木々を調整して、よりリアルなシェーディングを実現しました。また、木々の処理に掛かるレンダリング時間が短縮され、ゲームのパフォーマンスが向上しました。
遠方の霧
さらに、霧の質感を調整できる設定を追加しました。これまではプレイヤーに近い位置の霧しか表示できませんでしたが、遠くの霧も表示できるようになり、戦闘の雰囲気をより一層引き立てます。
水面エフェクトの改善
『Enlisted』には川や湖、開けた水辺がたくさんあります。近日公開の「太平洋キャンペーン」だけでなく、雪の降るモスクワ近郊でも、いくつかの水の障害物に立ち向かう必要があるかもしれません。水とのインタラクションはゲーム感覚に重要な役割を果たすので、この分野では全面的な改善を行いました。
反射
水面と光の相互作用の仕方や、水中での光の屈折や分散の規則性は、ゲーム内の水面に関する最も重要な要素の一つだったため、それについてはかなりの時間を費やしました。
反射の精度を大幅に改善しました。より高いグラフィック設定でも、水面に接触するオブジェクトから反射する光が離れなくなりました。
これらの改善により、『Enlisted』はますます写真のようにリアルな描写になりました。その様子は広大な水域だけでなく、小さな川や水たまりからでも見て取れます。この橋の写真にもあるように、水面下を進むプレイヤーの皆さまも反射の効果を実感し驚くことでしょう。
水のインタラクション
改善点はまだまだあります。水が環境と相互作用する方法を決定するルールをいくつか追加しました。雨が降ると、表面は何千もの雨滴の波紋で覆われるようになりました。新しいテクノロジーにより、小さなオブジェクトが水と相互作用する様子から、波を正確に表現したり、リアルな嵐を引き起こしたりする方法まで、さまざまな天候状況を表現することができるようになりました。
浅瀬を走る兵器はもちろんのこと、水中に転落した水陸両用戦車、勢いよく通り過ぎる高速のボートは強い波を残し、最も激しくぶつかり合う場所では水も泡立つほど、これからはあらゆる環境と水とのインタラクションの比重が増していきます。
水面のハイトマップ
ハイトマップの新しいメカニクスにより、遂に「海面」のゼロ地点ではない位置に個別の貯水池を作成できるようになりました。この機能は、海が川や湖に接するロケーションのキャンペーンで特に役立ちます。