レイトレーシング実装!

2025.09.13 お知らせ



指揮官の皆さま、次期大型アップデート「スコーチング・レイズ(Scorching Rays)」では、レイトレーシングによって皆さまのゲームのグラフィックを更なる高みへと押し上げることができます。今回の開発記事では、この新たなグラフィック設定がどのように機能するのか詳細に説明し、ビジュアル面がどれほど向上するのかご覧いただきます。

レイトレーシングされたシーン


レイトレーシングの効果を機能させるには、トレースを行うシーンを構築する必要があります。また、シーン全体のすべてのインスタンスを反復してしまわないよう、バウンディングボリューム階層(BVH)というアクセラレータ構造を通して行います。読み込まれた各メッシュは、ボトムレベルアクセラレーション構造(BLAS)を作成し、これらのメッシュがGPU内のレイトレーシングハードウェアによってトレースされるために、トップレベルアクセラレーション構造(TLAS)でインスタンス化されます。

『Enlisted』では、物理的に正確なレンダリングを行うために、ほぼすべての要素をラスタライズされた品質に近い品質でBVHシーンに追加しました。この方法により、マップ全体でレイトレーシングによる効果を計算できるようになり、例えば、フレーム内でレンダリングされている限り、木々の反射などに適用されます。


このシーンにはアニメーション化されたオブジェクトも含まれるため、シーンはフレームごとに更新されます。また、高いフレームレートを維持するために、このステップは多くのCPUスレッドを使用して実行されます。そのため、比較的新しいCPUの使用が推奨されます。

レイトレーシングによるシャドウマップ(RTSM)


レイトレーシングによるシャドウマップが、太陽からのシャドウマップを置き換えます。どのように機能するかというと、画面上の可視ピクセルから太陽の表面に向けて、確率的で光線を発射し、その地点から表面がどれだけ見えるかという時間的なサンプリングを行います。その後、デノイザーを通して最終的なソフトシャドウを作成します。

結果的に、影を投影するオブジェクトとの距離によって変化する、まるで現実世界の影のようにリアルで滑らかな影が表示されます。


ハイエンドのGPUでは、レイトレーシングによる動的光源を有効にすることもできます。これにより、影が有効になっているあらゆる光源において、ピクセルパーフェクトなハードシャドウをトレースすることができます。


レイトレーシングによるアンビエントオクルージョン(RTAO)


アンビエントオクルージョンは、空から降り注ぐ環境光を遮るオブジェクトをシミュレートするための手法です。


ラスタライズ化されたパイプラインにおいては、これはスクリーンスペースの効果であり、見える範囲のサンプルのみを使用します。そのため、光が通り抜けたり、スクリーンスペースを導入する都合上オクルージョンを行う画面端のオブジェクトが物理的に存在しなくなり、オクルージョンが消失したりするなど、誤ったオクルージョンを引き起こす可能性があります。

一方で、RTAOはその計算に必要な情報すべてにアクセス可能なため、レイトレーシングを行うシーンにおいてそういった事態を避けることができます。

レイトレーシングによるリフレクション(RTR)


レイトレーシングにおける最も象徴的な効果は、反射です。通常は、反射プローブとスクリーンスペース反射を使用し、高品質のトレーシングではグローバルイルミネーション(GI)シーンを使用して各要素のおおよその色を得ます。一方で、レイトレーシングではモンテカルロ法を用いて反射のサンプリングを行うことができ、反射するオブジェクトの正確な色を計算し、ノイズ除去を行って物理的に正しい反射を表現することができます。


『Enlisted』では、粗い表面での反射を最適化するために、可変長の光線を使用します。光線が短いほどトレーシングが高速になります。また、これらの表面の光において反射はそれほど重要でないため、視覚的な品質が損なわれることはありません!


さらに、BVHシーンにより、これまでどの反射も適用されていなかった煙や炎といった透明な効果もトレースできるようになります。そのため、例えば火炎放射器は周囲を照らすことができるようになり、水たまりの反射で遠くの煙を見ることができるようになります。

このスクリーンショットでは、反射光が幅広く放たれるため、凹凸のある天井には結像されませんが、鏡のようではないもののはるかに滑らかになった壁面で炎の細かな部分まで見ることができます。

光源は、BVHシーンを照らすためにも使用されます。そのため、画面上に表示されていないランプの反射も見ることができます。


私たちが使用していたもう一つの技術が、以前のフレームをライティングキャッシュとして使用する方法です。基本的に、以前のフレームに存在したものに当たった光線については、その表面の照明を一から計算する必要はなく、キャッシュを読み込むだけで済みます。これは、わずかに高速になるだけでなく、以前のフレームもレイトレーシングによって照らされていたため、照明品質も向上します。そのため、再帰的に光線を放つことで得られる効果を格段に速く近似することができます。このスクリーンショットでは、壁は空を直接反射していますが、床は壁のみを反射しています。それでも、空の間接的な反射は残っています。

レイトレーシングによる透明なリフレクション(RTTR)



レイトレーシングによる透明な反射(RTTR)も別途設定することができます。この設定により、すべての透明なガラスの表面に反射を追加します。ガラスは滑らかなため、鏡のように反射します。また、ゲーム内でガラスの素材は比較的希少なため、低コストで大きな効果を演出することが可能になります。


これにより、スナイパーライフルの照準器で背後の様子を確かめることができます。

レイトレーシングされた水面(RTW)



ようやく、レイトレーシングされた水面のオプションが追加されます。このオプションは水面上のレイトレーシング反射を有効化し、ゴースト現象を最小限に抑えたカスタムなテンポラル蓄積アルゴリズムを採用しています。また、太陽から水面へのソフトなレイトレーシングされた影も有効化されます。

パフォーマンス


レイトレーシングはよりハイエンドなPC向けの要素ですが、私たちは多くの皆さまにご利用いただけるようにベストを尽くしました。

各オプションは個別に有効化・無効化でき、GPUに応じてパフォーマンスオーバーヘッドを調整可能です。ただし、すべてのレイトレーシング効果はBVHの維持を必要とし、これは全効果で共有されるコストである点にご注意ください。

お使いのGPUとディスプレイ解像度に応じて、『Enlisted』がサポートする複数の解像度スケーリングアルゴリズム(テンポラル ハイパー解像度、DLSS、FSR、XeSS)の中から、若干のアップスケーリングを使用することをお勧めします。

技術的な理由により、レイトレーシングを有効にした状態では、現在動的解像度に対応しておりませんのでご注意ください。

次期大型アップデート「スコーチング・レイズ(Scorching Rays)」では、NVIDIAおよびAMDのグラフィックスカードにのみサポートを追加しますが、将来的にIntelへのサポートも追加し、今後のアップデートでは更なる改善と機能も追加する予定です。

推奨ハードウェア


すべてのレイトレーシング効果をすべて有効にしたウルトラプリセットには、以下のハードウェアを推奨します:

1080p 60fps:NVIDIA GeForce RTX 4060 / AMD Radeon RX 9060 XT

1440p 60fps:NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti / AMD Radeon RX 9070 XT

2160p 60fps:NVIDIA GeForce RTX 5080

これらの技術により、照明や反射がよりリアルになり、ゲームのビジュアルを飛躍的に向上させます。次期大型アップデートが実施された際には、『Enlisted』でその美しさを体感し、その体験を私たちとも共有してください!



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