レイトレーシング&グラフィック改良

2026.03.25 開発情報


指揮官の諸君!今回の開発ブログでは、大型アップデート「ヒドゥンスレット(Hidden Threat)」で実装するビジュアル面の変更点について紹介する。本記事は2つのパートに分かれ、前半ではレイトレーシング、後半では全般的なグラフィックの改善について共有する。

レイトレーシング

レイトレーシングのベータテストが完了し、正式提供となります。今回のアップデートでは、新たなレイトレーシング機能、改善、内部的な最適化、その他の追加機能が組み込まれます!

Intelサポート

Intel製GPU特有の問題を解決しました。これにより、Intel製GPUを搭載したPCプレイヤーの皆さまもレイトレーシングを有効にしてプレイできるようになります!

DLSS RR(DLSS Ray Reconstruction:DLSSレイ再構成)

DLSS RR(DLSSレイ再構成)は、NVIDIA社が開発したレイトレーシングに特化したアップスケーラーです。その仕組みはDLSSと類似しており、低解像度の画像を取り込み、時間的にフレームを蓄積することで高品質な結果を出力します。しかし、レイ再構成はレイトレーシングによるノイズの多い出力を処理するために特別に設計されています。

既存のパイプラインでは、はじめにフレームをフル解像度でレンダリングし、次に低解像度で各レイトレーシングエフェクトを個別にノイズ除去(デノイズ)およびアップスケールしてから、画面に適用していました。

ノイズ除去後の反射:


ノイズ除去後のアンビエントオクルージョン:


ノイズ除去後の影:


DLSS RR(DLSSレイ再構成)を使用すると、これらのノイズ除去技術(デノイザー)は不要になります。代わりに、レンダリング解像度でレイトレースし、ノイズの多いレイトレーシング結果を直接画像に適用してからDLSSに渡し、アップスケールとノイズ除去(デノイズ)を一度に行います。

反射:


アンビエントオクルージョン:


影:


DLSS RR入力:


もう一つ特筆すべき点として、DLSS RRのおかげで、球状のボリュームを持つランプに向かって照射される光線の方向をランダム化するだけで、追加のパフォーマンスコストなしに、動的な光線に高品質なソフトシャドウを生成することも可能になりました。

DLSS RRあり:


DLSS RRなし:


DLSS RRはレイトレーシングの解像度をレンダリング解像度と一致させる必要があるため、以前アップスケーリングなしでゲームを実行していた場合は、「パフォーマンス(Performance)」プリセットを使用し、すべてのレイトレーシングエフェクトを有効にしてDLSS RRを最も効率的に活用することをお勧めします。



ダイナミック解像度のサポート

これまで技術的な問題により、レイトレーシングはダイナミック解像度の対応なしに実装されていました。これらの問題が解消され、レイトレーシングと併用して有効化できるようになったため、負荷の高い状況でもよりスムーズな体験を提供可能になりました。

スクリーンプローブを使用した粗面反射の改善

レイトレーシングによる反射では、表面の粗さに基づいて計算される可変長のレイを使用します。これにより、鮮明な画像が形成されない表面のトレースに時間をかけすぎることを防ぎます。しかし、レイが短い場合、何も当たらなかったのか、そこに何もないからなのか、レイを短くしすぎたからなのかを確実に知ることができませんでした。そのため、GIシーンに基づいた近似値を使用する必要がありました。この方法は低コストで安定した画像をもたらしましたが、あくまで近似であり、改善の余地があることは認識していました。
反射の計算前に、画面上に規則的なグリッドを生成し、シーンのジオメトリに基づいてそこにプローブを配置します。そして、それらのプローブから全方向に低解像度でトレースを行い、前のフレームの結果を使用して時間的にデータを蓄積します。


反射の計算中、これらのプローブがトレースされたピクセルに近い場合、従来のフォールバックの代わりに使用できます。これにより、パフォーマンスに大きなオーバーヘッドを追加することなく、空がコンクリートなどの粗い表面を物理的に正確に照らすことが可能になります。

スクリーンプローブなし:


スクリーンプローブあり:


BVH(Bounding Volume Hierarchy:バウンディングボリューム階層)」シーンの拡張

ワールド内にレンダリングされるほとんどのオブジェクトはBVHに追加されていましたが、一部欠落しているものがあり、今回それらを追加しました。

反射に水面が映るようになりました。


戦車やその他の兵器のデカールも表示されるようになりました。


草木やその他雑多なオブジェクトも表示されるように追加しました。これらはパフォーマンスに中程度の影響を与えるため、グラフィックオプションでいつでも有効/無効を切り替えられる設定になっています。

草木あり:



草木なし:



まだまだあります!

このセクションでは、大型アップデート「ヒドゥンスレット(Hidden Threat)」におけるレイ トレーシング以外の機能について紹介します。

植生の炎上



火炎放射器や火炎瓶、焼夷弾などの火炎系兵器で植生が燃える機能を追加しました。

木に火をつけると、炎が全体に広がり、炎上エフェクトが発生します。樹皮は燃え殻となって熾火が輝き、火が広がるにつれて葉は燃え尽きて消え、幹だけが残ります。この幹も自重で倒壊することがあります。

地面の草木も燃やすことができます。草木は木と同様に燃え尽き、草の燃え差しが残ります。また、地形にはアニメーション付きのデカールが生成され、その後パフォーマンスを考慮して静的なデカールに切り替わります。

これらはすべてプレイヤー間で同期されるため、草木が燃え尽きた時にマップ上のどこにいても、同じ結果を共有することができます。

アンチエイリアシングのアップデート

アンチエイリアシングのオプションも更新しました。品質プリセットの設定が統一され、アンチエイリアシングモードを切り替えても同じ値が維持されるようになりました。

Nvidia DLSS

DLSSを最新のバージョン4.5にアップデートしました。これにより画質が向上し、主に「パフォーマンス(Performance )」および「ウルトラパフォーマンス(Ultra Performance)」のプリセットが対象となります。パフォーマンスへの影響を考慮し、モデル選択のオプションを追加しました。これにより、より高速なレガシープリセットまたは低速な新しいプリセットを明示的に選択できます。デフォルトでは、GPUの世代に基づいてゲームが自動で選択します。

AMD FSR

AMD FSRを4.0にアップデートし、ニューラルネットワークベースの実装をサポートする最新のAMD製GPUにおいて画質が向上しました。

Intel XeSS

XeSS 2にもアップデートしました。

破壊されたオブジェクトの分解エフェクト

ドアや窓など、破壊されたオブジェクトが地面に沈むだけでなく、分解するアニメーションが表示されるようになりました。



エフェクトのアニメーション改善

エフェクトシステムのアニメーションを改善しました。以前はキーフレームを切り替えるだけでしたが、現在はそれぞれのモーションベクターを使用することで、キーフレーム間を滑らかに補間できるようになり、エフェクトがより見やすくなりました。

パーティクルの影の改善

すべての透過エフェクトでピクセルごとに影を計算すると、非常に負荷が高くなります。そこで、カメラ周辺のボクセルグリッドに影を計算し、近くのパーティクルエフェクトがそれをサンプリングするようにしました。これにより、パフォーマンスに大きな負荷をかけることなく、エフェクトに高品質な影を付与することが可能になります。

変更前:


変更後:


この機能のポテンシャルを最大限に引き出すには、影のクオリティを「ウルトラ(Ultra)」に設定してください。それ以下のクオリティでも、この機能によってエフェクトの頂点単位のシャドウ計算が以前よりもはるかに安定します。

雨の改善

雨の表現を全面的に見直しました。雨のシミュレーションをGPU処理に移行し、最大パーティクル数を大幅に増加させることが可能になりました。また、空の雲の密度に基づいた雨の密度マップにも対応しています。さらに、「ビジュアルエフェクトの解像度(Resolution of Visual Effects)」設定に応じて雨の詳細度レベルを導入し、高解像度ではより広い範囲で雨が降るようになりました。加えて、個々の雨粒が適切に歪むようになり、よりリアルな雨の屈折表現を実現しました。



銃口の発砲炎の視認性改善

銃は大量の煙を発生させますが、これはリアルである一方、状況によっては視認性を著しく妨げることがありました。ゲームプレイ体験を向上させるため、例えば明るい場所から暗い部屋へ射撃する際に視界が失われないよう、これらの煙エフェクトのアルファ値を動的に調整するようにしました。



車両による水面の波紋の改善

水面の波紋のシミュレーションも改善しました。以前は、車両と水との相互作用は、物理的ではない単純な円形の波紋で表現されていました。新しいシステムでは車体の形状を考慮し、走行時に物理的に水を前方に押し出す適切な「船首波(bow wave)」を生成するようになりました。

動的な泡の生成も追加しました。以前は存在しなかった泡が、移動する戦車、弾丸の着弾、その他の相互作用によって引き起こされる強い水面の波紋から、物理的に正しく生成されるようになりました。その結果、発射体が波を生成する際の物理パラメータも改善・調整し、より高いリアリズムを実現しています。

これらの物理学ベースの流体相互作用を実装するためには、グラフィックプリセットの見直しが必要でした。この改善は通常の場合でも確認できますが、「水面の波紋クオリティ(Water Ripples Quality)」を「ウルトラ(Ultra)」に設定すると、動的なオブジェクトからの波紋がより詳細に表示されます。



航空機の弾痕

航空機に弾が当たった痕が表示されるようになりました。これは外部視点とコックピット視点の両方から確認できます。


大型アップデート「ヒドゥンスレット(Hidden Threat)」には、今回の開発ブログで紹介しきれなかった細かな改善点が他にも多くあります。大型アップデートが実装された際には、ゲーム内でこれらの変更点を楽しんでいただけると幸いです。

それでは指揮官の諸君、戦場で会いましょう。時には立ち止まり、周囲の景色を眺めることもお忘れなく!



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